労働基準法~第二章 労働契約~

ビジネス情報~社会人編~
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労働基準法とは

労働基準法とは労働者が企業に雇用されている労働者が働く上で最低限のルール(基準)を定めた法律です。

普段は条文を見ることはない方でもここ近年、働き方改革の取り組みの中で条文を見られた方も多いのではないでしょうか。

今回は「第二章 労働契約」についてです。

「第1章 総則」については↓こちら

労働基準法~第一章 総則~
労働基準法とは 労働基準法とは労働者が企業に雇用されている労働者が働く上で最低限のルール(基準)を定めた法律です。 普段は条文を見ることはない方でもここ近年、働き方改革の取り組みの中で条文を見られた方も多いのではないでしょうか。 ...

第二章 労働契約

(この法律違反の契約)
第十三条
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
労働基準法は労働条件の最低ラインを定める法律ですのでそれに満たない労働条件を定めている労働契約については無効にする必要があります。
無効になった部分についてなくなってしまった場合は労働者を守ることができませんので、労働基準法で定めている最低ラインについて適用されるようになっています。

※例えば労働時間が10時間で労働契約をしている場合、

8時間を超えているので1日の労働時間が無効になり、労働基準法の基準である8時間が適用されます

(契約期間等)
第十四条
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。

一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

労働契約による契約期間が長期に及ぶ場合、労働者の自由を不当に拘束してしまうようなことになってしまいます。こういった不当な拘束を防止するために、契約期間に一定の制限が設けられています。(無期雇用の場合は除きます
原則として、3年を超える期間について締結することはできません。
(例外)
①専門的な知識、技術又は経験(専門的知識等)を有する労働者との契約
 ・博士の学位を有する者
 ・公認会計士、医師、弁護士、税理士、社労士等
 ・ITストラテジスト合格者等
 ・一定の要件に該当するシステムエンジニア等で年額1,075万円を下回らないもの
 など
②満60歳以上の労働者との間に締結される契約
 
○2
厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

○3
行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

厚生労働大臣は下記の基準を定めることができます。
 ・紛争が生じることを未然に防止するための通知に関する事項
 ・その他必要な事項

また、行政官庁は厚生労働大臣が定める基準に関し、必要な助言及び指導を行うことができます。

(労働条件の明示)
第十五条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
厚生労働省令で定める明示事項とは、
〇絶対的明示事項(必ず明示しなければならない事項)
①労働契約の期間に関する事項
 ・期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
 ・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
②始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における終業時転換に関する事項
③賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
④退職に関する事項(事由含む)
〇相対的明示事項(定めがある場合に明示しなければならない事項)
 ・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、
  計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
⑤臨時に支払われる賃金(退職手当除く)、賞与等及び最低賃金額に関する事項
⑥労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑦安全及び衛生に関する事項
⑧職業訓練に関する事項
⑨災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑩表彰及び制裁に関する事項
⑪休職に関する事項
〇厚生労働省令で定める方法による明示
・絶対的明示事項について、昇給に関する事項以外の事項は書面による交付
・昇給に関する事項や相対的明示事項については「口頭」または「書面交付」
 
○2
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

○3
前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

2項には「労働者」は明示された労働条件に相違がある場合は「即時」に労働契約を「解除」することができるとされています。
また、即時解除した場合については、解除の日から14日以内に帰郷する旅費を会社(使用者)から支給してもらうことができるということになります。
(会社側からすると負担しなければならないということになります)
(賠償予定の禁止)
第十六条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
不履行があった場合に、あらかじめ賠償額を定めておくことは実際の損害額よりも不当に高額な賠償をするケースが出てしまう場合もあり、労働者にとって不利な契約となってしまいます。

そういった場合を防ぐために16条により禁止されています。

ただし、予定することを禁止することなので、実際に生じた損害について使用者が損害賠償することは認められていますので、混同しないようにしましょう。

(前借金相殺の禁止)
第十七条
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
「前受金」とは、労働することを条件として会社(使用者)から借り入れ、将来の賃金により返済することを約束した金銭のことです。
(ただし、自己の意思で相殺することは禁止とされていません)

強制労働につながるような前仮金制度を禁止するものです。
生活必需品などの生活資金の貸付まで禁止するものではありません。

(強制貯金)
第十八条
使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
労働契約の締結・存続の際の条件として、使用者が強制的に貯蓄をすることを禁止しています。
ここでいう貯蓄金の管理とは「社内預金」や「個人名義の預金預け入れをし、使用者が管理する場合」のことをいいます。

以下、2項以降は任意貯蓄についての内容です。

○2
使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
 
強制ではなく、使用者が労働者の委託を受ける場合は以下の要件のもと、貯蓄金の管理をすることができます。

①労使協定を締結し、諸葛労働基準監督署長へ届け出る

労使協定とは?
「使用者」と
「①労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合」または
「②労働者の過半数を代表する者」との間で締結される書面による協定のことです。
労使協定により、事業場全体に労使協定の効力が及びます。
(労働協約は、労働協約の適用者のみに効力が及びます)
○3
使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。

○4
使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。

○5
使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。

○6
使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。

○7
前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。

 
②貯蓄金の管理に関する規定を定め、労働者へ周知する(備え付け等)
③労働者の預金の受入れの場合は、利子をつけること
④預金の受入れをする場合は、毎年管理状況を4月30日までに所轄労働基準監督署長へ報告
⑤労働者が貯蓄金の返還を請求した場合は遅滞なく返還すること
⑥規定違反があった場合、労働者の利益を著しく害すると認められたときは貯蓄金の中止を命じられた場合、遅滞なく労働者へ返還すること
 ※所轄労働基準監督署長とは、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長のことをいいます。

(解雇制限)
第十九条
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

○2
前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

下記のような労働者が労働できない場合(労働能力が逓減している場合)において、解雇の制限がかかります。
「業務上の負傷、または疾病にかかり療養による休業期間及びその後30日間」
「産前産後休業期間及びその後30日間」
(出産予定日以前6週間(多胎妊娠は14週間)・産後8週間)

※休業していない場合は、解雇制限期間とはなりません。
※その後30日間が経過した場合は制限が解除となります。

(解雇の予告)
第二十条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。


前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
○3
前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

使用者が労働者を解雇しようとする場合、下記の点に留意する必要があります。

①解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。
②予告をしない場合、30日以上の平均賃金を支払わなければなりません
 (解雇予告手当

※予告の日数は、平均賃金を支払った場合は、その日数分を減らすことができます

 また、①と②を合わせて行うこともできます。(20日前の予告+10日分の平均賃金)
民法上では期間の定めのない雇用契約では、2週間の予告期間を置けば解約できるのですが、労働者の再就職などの準備期間を保障するため、使用者が解約する場合において、予告期間を要求できるようにしているものです。
 
第二十一条
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

 一 日日雇い入れられる者
 二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
 三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
 四 試の使用期間中の者

解雇予告の例外について
解雇予告は次の場合においては、必要ありません。
 ①日日雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される場合は除きます)
 ②2か月以内の期間を定めて使用される者
 ③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
  (但し、①又は②の者が当初の契約期間を超えて引き続き使用される場合は除きます)
 ④使用期間中の者で14日を超えて引き続き使用される者
※例えば同一の内容の作業に従事させている従業員について1か月毎の短期契約を更新し1年、2年と継続勤務させている場合は、「2か月以内の期間を定めて使用される者」には該当しません。
【通達:昭和24年9月21日、基収2751号】
(退職時等の証明)
第二十二条
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
退職する場合、労働者が証明書を請求した場合には、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。

〇証明事項
 ・使用期間
 ・業務の種類
 ・その事業における地位
 ・賃金
 ・退職の事由(解雇の場合は、その理由を含みます)

退職証明書は再就職活動において転職先でのトラブルを防止するために提出が求められたり、また自分の発言を裏付ける資料でもあります。
労働者の転職活動を有利に行えるようにするために義務付けられた規定となります。

退職時の証明を求める回数には制限がありませんが、請求権の時効は2年です。
また、虚偽の内容を記載されていた場合は交付義務を果たしたことになりません。
○2
労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

○3
前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

 
解雇予告された日から退職の日までの間にも退職の「証明書」を請求することができます。
これは解雇をめぐる紛争を未然に防止・解決を図るために使用者に義務付けられた規定です。

※例外として、解雇予告後、解雇以外の事由で退職した場合は退職日以後、交付を要しない。

※共通:証明書には労働者の請求しない事項を記入してはなりません。
○4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。
労働者の就業を妨害することを禁止した規定です。

〇就業を妨害するために誰かと共謀して「国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動」について伝えてはならない。

※ブラツクリストの回覧のように予め計画的に就業を妨げることを禁止する趣旨であるので、事前の申し合せに基づかない個々の具体的の照合に対して回答することは差し支えありません。
【通達:昭和22年9月13日発基17号】

〇退職証明書に秘密の記号を記入すること
 (いかなる事項においても記入した場合、労働基準法違反となります)

(金品の返還)
第二十三条
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。

○2
前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

 
労働者が死亡又は退職する際に、権利者の請求があった場合には7日以内に賃金を支払い、また金品を返還しなければなりません。

※ここでいう権利者とは「退職の場合=労働者本人」、「死亡の場合=相続人」となります。

※退職手当については、あらかじめ就業規則等に定められた支払い時期に支払えば問題ありません。
【通達:昭和63年3月14日基発150号】
 

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