事務職で生活していく中で必要なのは「経験」や「実務力」ではありますが、まずは「資格」がないと対外的にアピールできません。
ここでは、事務職で必要な資格や持っていることで有利な資格等を紹介していきたいと思います。
【知的財産管理技能検定1級について】
知的財産管理職種にかかる「国家試験」であり、知的財産管理の職種における上級の技能者と位置付けられている資格です。
知的財産管理技能検定は技能検定(技能レベルを評価する国家検定制度)の中の「知的財産管理」という職種に関する国家試験です。
この資格は知的財産を管理する技能の習得レベルを測定・評価するものです。
(マネジメントスキル)
技術革新の目覚ましい進展により産業構造が大きく変容しつつあるなか、人々の志向やライフスタイルも大きく変化しており、技術をはじめ、コンテンツ・デザイン・ブランドといった「知的財産」をマネジメントすることが「ビジネスの鍵」となっています。
〇本が書かれた内容、ゲームのソフトなどの「著作物」
〇著名なブランドなどの「商標」
〇車のデザインなどの「意匠」
〇新しい技術やアイディアなどの「発明」
などのことを言います。
ビジネスをする上で、知財マネジメントに関するスキルを身につけることは必要不可欠となっており、ビジネスモデルの創出に関わるすべてのビジネスパーソンにとってますます重要なスキルとなってきています。
そのため幅広い層、多様な業種の方が受験しており、ビジネスパーソンだけでなく、学生の方も多く受験されている資格です。
(2020年1月現在、技能士は10万人超)
1級は2級に比べ知的財産の課題の発見と解決を主導することができる技能及びこれに関する専門的な知識を有する者という基準となります。
1級には業務毎に試験があり、それぞれの学科・実技試験に合格する必要があります。
知的財産分野全般について、専門的な能力がある。
下記に関する深い専門的知識を有し、業務上の課題を発見と解決を主導する技能がある。
(特許専門業務)
・戦略
・法務
・リスクマネジメント
・情報・調査
・国内権利化
・外国権利化
・契約
・エンフォースメント(権利行使)
・価値評価・資金調達
(コンテンツ専門業務) ※コンテンツビジネス専門人材
・リスクマネジメント
・契約
・エンフォースメント(権利行使)
・資金調達
・価値評価
・関係法規
・コンテンツに関する業務
(コンテンツ開発戦略・創造支援・保護・関係法規等)
(ブランド専門業務)※ブランドマネジメント専門人材
・国内外におけるブランドに関する権利取得手続き
・ライセンス・模倣品対策等
学科試験月:年3回(3月/7月/11月)
7月:コンテンツ専門業務(学科)
ブランド専門業務(実技)
11月:特許専門業務(学科)
コンテンツ専門業務(実技)
3月:ブランド専門業務(学科)
特許専門業務(実技)
試験時間 :学科100分(マークシート 4肢択一式の筆記試験)
実技 30分(筆記試験と口頭試問)
出題数 :学科 45問(持ち帰り可)
実技 5問(原則、持ち帰り可)
【受験資格】
学科試験(共通)
・知的財産に関する業務について4年以上の実務経験を有する者
・2級技能検定の合格者
(有効期限あり:前々年度に属する合格日)
・大学・大学院において検定職種科目10単位以上取得者
(1級に関する項目)
・ビジネス著作権検定「上級」の合格者で1年以上の実務経験を有する者
実技試験
・対象の1級技能検定学科試験の合格者
・1級知的財産管理技能士(受験する業務以外の技能士)
※自己申告制となっており、第三者による証明の提出は不要です。
(事実に反した場合は合格決定を取り消す場合あり)
【合格基準】
合格基準 :学科試験 満点の80%以上(業務共通)
実技試験 満点の60%以上(業務共通)
【受験手数料・合格率】
受験手数料:学科 8,900円(非課税)
実技 23,000円(非課税)
合格率 :2019年度
特許専門業務 :学科 8.6% 実技 95.3%
コンテンツ専門業務:学科 11.6% 実技 54.7%
ブランド専門業務 :学科 5.2% 実技 78.3%
【試験範囲】
特許専門業務
学科試験 | 実技試験 |
1.管理 1-1 リスクマネジメント 2.創造(調達) 2-1 契約 3.活用 3-1 契約 3-2 エンフォースメント (権利行使) 3-3 資金調達 3-4 価値評価 4.関係法規 5.特許専門業務 A 戦略 A-1 知的財産戦略 B 管理 B-1 法務 C 創造(調達) C-1 情報・調査 D 保護(競争力のデザイン) D-1 国内権利化 D-2 外国権利化 E 特許関係法規 | 1.特許専門業務 |
コンテンツ専門業務
学科試験 | 実技試験 |
1.管理 1-1 リスクマネジメント 2.創造(調達) 2-1 契約 3.活用 3-1 契約 3-2 エンフォースメント (権利行使) 3-3 資金調達 3-4 価値評価 4.関係法規 5.コンテンツ専門業務 A 戦略 A-1 コンテンツ開発戦略 B 創造(調達) B-1 コンテンツ創造支援 C 保護(競争力のデザイン) C-1 コンテンツ保護 D コンテンツ関係法規 | 1.コンテンツ専門業務 |
ブランド専門業務
学科試験 | 実技試験 |
1.管理 | 1.ブランド専門業務 |
【出題法律等の全体像】
〇知的財産権
◆著作権(著作権法)
◆産業財産権(工業所有権)
・特許権(特許法)
・実用新案権(実用新案法)
・意匠権(意匠法)
・商標権(商標法)
◆育成者権(種苗法)
◆営業秘密に関する権利等(不正競争防止法)
また、法律は単独では運用できないため、知的財産管理に密接に関係している下記のような法律があります。
◆民法(契約や財産権に関する一般法)
◆独占禁止法
◆弁理士法
◆関税法
したがって、関係法令を理解することも重要となります。
「パリ条約」、「特許協力条約(PCT)」、「ベルヌ条約」といった条約についても併せて理解する必要があります。
※法律に規定がなく、また条約と法律が矛盾する事項については、「条約」が優先されます。
【1級の難易度は高くても10%程度、実務経験が重要に】
(実技は学科合格者のみの受験となり、合格率は高くなっている)
知的財産管理技能検定の1級の直近の合格率は学科は約5~10%の合格率となっており、2級と比べて格段に難易度があがっています。実技試験については学科合格者のみが受験可能となっており、合格率は高めになっています。
1級は学科、実技の実施時期が分散されておりそれぞれ年1回の開催となっていますので、他業務を受験する場合は計画的に勉強することが必要です。
著作権や特許権などといった知的財産はビジネスにおいても非常に関わりが多く、例えばソフトウェアの開発委託を依頼する際なども、「著作権」などの扱いについて契約時にどのようにするかなど、きちんと明示しておかないと後々トラブルになることもあります。
学生の方も、コンテンツやプログラムなど著作物に対する取り扱いは普段の生活にも気を付けなければなりませんし、また就職活動においても【知財】を理解していることはアピールポイントにもなります。
知財の知識は技術系、事務系問わずすべての社員に生きる、活かせるものだと思います。
新しく技術を生み出すうえで、知財リスクを考慮しながら業務をすること大事なポイントにもなります。
また知的財産管理技能士の資格を取得していることにより人事考課の加算ポイントとしている企業もあります。
知的財産に関する業務について実務経験が4年以上ある方等は1級を受験することができますが、その他の方はまず3級を取得⇒2級を取得⇒1級を受験することになるかと思います。
1級の試験では3つの業務に分かれて受験する必要がありますので必要な業務に対して受験をしていく必要があります。
1級については難易度が高いため、しっかりとした法律知識はもちろん必要になりますが、むしろ実務経験の重要性が高く、実際の合格者の方も知財関係の実務を通して合格されている方が多いようです。
「知財の基礎知識」「事業に沿った知財の注意点」「知財戦略」と大きく3つに分けてそれぞれにQ&A形式で、知財業務での疑問点や興味のあるところから読み進めることができます。
ビジネスにおいて、予め知っておきたい、備えておきたい基礎知識が網羅されています。
【経営戦略としての知財】
社内の知的財産、知的資産をどう生かすか、高めるか?
「知財情報は企業戦略へ、出願は戦術として」
【取得のメリット:まとめ】
「知財マネジメント」はどんな仕事にも役立つ基本的なスキルです。
知的財産管理技能士を取得することで
〇組織の知財マネジメント能力の向上に貢献
〇知財に関するコミュニケーション能力の向上
といったメリットがあります。
技術革新により産業構造やライフスタイルが大きく変化している現代、「知的財産」を駆使しながら継続的に利益を生み出す革新的なビジネスモデルを創出することが求められています。
そのため、知的マネジメントスキルは知財の権利化に関わる部門だけでなく、組織全体で知財などの経営資源を活用した経営の仕組みを作っていく必要があります。
知財マネジメントスキルを得ることで、知財に関するコミュニケーション能力を身につけることができ、業務効率の向上にもつながります。
国際的に経済・社会が急激に変化している現在において、知的財産のスキルはますます重要度が高くなり求められてくる要望はさらに高まってくることが予想されますので、知的財産の勉強をぜひ始めてみましょう♬
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